【日本科学未来館】プラネタリウム作品「暗やみの色」をリバイバル上映 電子音楽家レイ・ハラカミさん没後10年追悼企画

TOPICS 2021.06.22

MEGASTAR-II cosmosが設置されている日本科学未来館で、今年で没後10年を迎える音楽家レイ・ハラカミさんが音楽を担当したプラネタリウム作品「暗やみの色」がリバイバル上映されます。大平貴之は監修を担当しました。

「世界で最も先進的」と評されたプラネタリウム投影機、MEGASTAR-II cosmosが生み出す圧倒的にリアルな星空と、レイ・ハラカミさんの浮遊感あふれる電子サウンドの心地よい調和を、約15年の時を経て堪能できる貴重な機会です。

「暗やみの色」は、「見えるもの、見えないもの」に注目したプラネタリウム作品。夜空を、赤外線や電波、X線など最先端の天文学の視点を借りて「見て」みると、暗やみもさまざまなもので満たされていることがわかります。さらに、それでも見ることのできない暗黒の物質ダークマターについて、理論的なモデルによるシミュレーション映像を加えて、“見えないもの”の存在が感じられる作品です。未来館のドームシアターで2005~2007年に上映されました。

未来館ではその制作にあたり、ファンから絶大な人気を得ていたレイ・ハラカミさんを音楽担当として迎え入れました。さらに作品コンセプトに共鳴した詩人の谷川俊太郎さんやバンド「クラムボン」の原田郁子さんらとともに半年弱の制作期間を経て、2005年12月17日に公開。翌年にはサウンドトラック「暗やみの色」がリリースされ、没後10年がたった今でも、レイ・ハラカミさんの名盤として多くの人から愛されています。

今回のリバイバル上映に当たって、谷川俊太郎さんは「映像と音楽と言葉で捉えきれない闇に迫るプロジェクトは、その時代の科学とともに何度でも更新されて行くだろう」というコメントを寄せています。時代が大きく変わっても輝き続けるレイ・ハラカミさんの音楽は、「変わっていくもの、変わらないもの」についても私たちを思索の旅にいざなってくれるでしょう。

 

 

レイ・ハラカミさんについて

1970年広島生まれ。京都を活動拠点とした。1998年に1st アルバム『unrest』をリリースし、日本のエレクトロニック・ミュージックに新しい風を呼び込んだ。2ndアルバム『opa*q』、3rdアルバム『red curb』とリリースを重ね、クラブ・シーンのみならず、幅広い人気を得ていった。UA、Great3、Chocolat、イルリメ、ASA-CHANG&巡礼、二階堂和美などのプロデュース、くるり、NUMBER GIRLのリミックスも手掛ける。細野晴臣のカバー「owari no kisetsu」も収録した4thアルバム『lust』で評価をさらに高めた。日本科学未来館のプラネタリウム作品『暗やみの色』の音楽を担当し、映画『天然コケッコー』のサウンドトラックでは「第62回毎日映画コンクール」の音楽賞を受賞した。矢野顕子と結成したyanokamiでも活動。2011年7月27日、脳出血のため死去。享年四十。

制作当時のコメント 「暗やみの色」に寄せて(2006年発行公式ガイドブックより)

この作品で、一番最初に興味を持ったのは、『まだ見えていない何かに焦点を当てる』というコンセプトそのものでした。素敵じゃあないですか!社会生活の中では、歳を取るほど『見えないモノ、理解出来ないモノ=存在しないモノ』という価値観でしか生きていけない、と勝手に思わされるフシがどうしてもあるわけで、実際にその方が楽だったりするわけですが、そんな事を根底から揺さぶる事が出来る作品になればいいなあと勝手に思っております。科学だろうと表現だろうと、原初的な動機には『未知なるもの』へのロマンがあるわけですよ。この世界を見限ってしまうのか、希望を持つかは、結局その人次第なのですから。生きてれば、こんなにロマンの溢れる仕事に参加出来たりする事もあるのだな、と改めて思えました。

 

 

制作メンバーより、リバイバル上映にあたってのコメント

谷川俊太郎さん(詩「闇は光の母」提供)

肉眼で見える闇の奥にもっと深い見えない闇があることを科学は教える。詩も科学とは違う仕方で見えない闇を言葉で探る。そのとき言葉は活字の殻を脱ぎ捨てて、声となりまた音楽と化して新しく生まれる。

映像と音楽と言葉で捉えきれない闇に迫るプロジェクトは、その時代の科学とともに何度でも更新されて行くだろう。

プロフィール

詩人。1931年東京生まれ。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第四回日本レコード大賞作詩賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第三十四回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第一回萩原朔太郎賞など受賞・著書多数。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。

原田郁子さん(ナレーション担当)

谷川さんの詩「闇は光の母」は今も体の芯にあり、時々ふとハラカミさんのサウンドトラックを聴きたくなります。束の間、目に見えるものたちから遠く離れて、深く呼吸をして、手足をのばす。安心して闇に浮かぶ。再上映とても嬉しいです。ダークマター、見えないものを見てみよう。感覚がひらかれていくのを感じながら、ぜひお楽しみいただけたらと思います。

プロフィール

1975年福岡生まれ。1995年にバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、さまざまなミュージシャンとの共演、共作、ソロ活動も精力的に行い、舞台音楽、CM歌唱も多数ある。ソロアルバムは『ピアノ』『気配と余韻』『ケモノと魔法』『銀河』を発表。2010年、吉祥寺の多目的スペース&カフェ「キチム」の立ち上げに携わる。

外部サイトへ移動しますhttp://www.clammbon.com

 

 

監修者

大平貴之(プラネタリウム・クリエーター/有限会社大平技研 代表取締役)

大学時代に個人製作で世界初となるレンズ式プラネタリウムの開発に成功。1998年、従来の100倍以上の星を映す「MEGASTAR」を発表。2004年、「MEGASTAR-II」がギネスワールドレコーズに。家庭用に開発した「HOMESTAR」は170万台超を販売。国内外への設置、イベントプロデュースなど多方面で活躍する傍ら、常に革新的な技術開発に取り組んでいる。文部科学大臣表彰科学技術賞等受賞多数。

 

 


 

原田郁子さんらによるトークイベント開催や、初上映当時に制作した幻の公式ガイドブック(2006年発行)の公開も

2021年7月3日(土)、「暗やみの色」の上映に続き、ナレーションを担当した原田郁子さんらを招いてのトークイベントも開催されます。また初上映時に未来館で発行し、現在では廃版になっている公式ガイドブックが、未来館のホームページにて期間限定で公開される予定です。詳細は、未来館のイベントページに随時アップされる情報をご確認ください。

INFORMATION

イベント名: プラネタリウム作品「暗やみの色」をリバイバル上映 電子音楽家レイ・ハラカミさん没後10年追悼企画
開催日: 2021年6月26日(土)~7月25日(日) ※土日祝日のみ
時間:16:30~17:00 開場16:20
会場: 日本科学未来館 6階 ドームシアター
予約: オンラインでの事前予約が必要です(上映日の1週間前から上映開始15分前まで)

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